[Interview] 全身全霊アニオタ歌手・暁月凛、オタクは「人生に対して真剣に悩む」

暁月凛

アニメを愛し、アニメに愛された歌手・暁月凛。3,000人を超える大型オーディションでグランプリを獲得後、2016年にメジャーデビュー。歌声は『金田一少年の事件簿R』『青の祓魔師』『銀の墓守り』『実験品家族』などの人気アニメを彩り、その存在はアニソン界の新星として大きな注目を集めている。


“アニメ”は今や日本のポップカルチャーを象徴する世界共通語となり、アニメ声優やアニソン歌手の人気と支持率は高い。その一方で、作品数の増加やジャンルの細分化も著しく、爆発的ヒットを記録するのは一握りという激しい生存競争が生まれている。アニソン業界も同じで、人気声優が歌手活動を並行したり、アニメの世界観を体現するグループを結成したり、ヒットを飛ばしている。そこに一歌手が歌声一本で勝負するのは至難の業だ。

そんなアニソン戦国時代にあって、次から次への楽曲タイアップ。単身戦いを挑む暁月凛には、向かい風を一刀両断する武器がある。アニメに対する尋常ならざる愛情だ。

アニメに目覚めたのは、12歳の頃。自分と年代の近い主人公たちの活躍にカルチャーショックを受けた「名探偵コナン」「カードキャプターさくら」、女性同士の禁断の感情と耽美的世界観に胸打たれた「神無月の巫女」がその後の人生の方向性を決めた。「アニソンばかりを聴き、学校では“友達のいない孤独な私はカッコいい”という中二病思考回路で生きていました。親切な友達が話しかけてきても『私に関わると不幸なことしか起こらないよ』と本気で思ったり、脳内で勝手にストーリーを組み立てて、自分を賛否両論人間という、一部に愛され一部に嫌われるという主人公キャラクターに設定したり。アニメとアニソンだけに支えられた青春でした」。

高校時代はコスプレに没頭したり、動画投稿サイトでアニソンを披露したり、生活サイクルはアニメ中心。「そこで『もう3次元はいいや!』となり、理想の職業もニートでした。でもアニメ業界には興味があり、仕事はしたくないけれどアニメには接していたいと思うようになって、自分の幸せな姿を妄想した時に出てきたのが、アニソン歌手でした」。

“好き”を仕事にしたい、とは誰もが思う事。大抵の場合は、理想の前に現実という壁が立ちはだかる。暁月の場合は、立ちはだかる壁からアニメの神様がロープを垂らしてくれたのか、3,000人超参加のオーディションでグランプリを獲得。妄想を現実に変えてしまった。「私がグランプリだったら“神作”だと思っていたら…こんなことありえるの?みたいな感じでした。でも頭の中で何かが鳴った気がした。その瞬間に、これは運命だと確信した」。

暁月凛
暁月凛

8月8日には全11曲収録のデビューアルバム「Time Capsule」が発売される。「デビュー当時から歌手になったという実感のない一方で、自分が2次元から3次元になってしまったという戸惑いを感じます。昔は引きこもりで自分が主人公の妄想ばかりをしていたけれど、それが今や現実味を帯びてきて、3次元感が強くなっている」と現実世界の展開に思考が追い付かない。アニソン歌手である前に生粋のアニメオタクであることから「いざ自分の歌声がアニメ作品の中から聴こえると嬉しい一方で、私は表現者として歌詞に込められた思いやテーマを伝えられているのだろうか?という反省が襲い掛かってくる」と複雑な感情が渦巻く。

だがアニメオタクとアニソン歌手という二つの人格が同居していることは、暁月凛の唯一無二の武器であり強み。「私がそうであるように、オタクとは人生に対して真剣に悩む人たち。子供の頃は、自分の人生に何の意味があるのかと悩んでいました。そういった感情に対して、大人は早期解決を促すけれど、オタクは中途半端な気持ちで解決したくない。そして『怒りや悲しみの正体は、この感情の意義とは何だと?』と真剣に向き合う中で出会ったのが、アニメでした。負の部分や闇の部分と向き合わせてくれた」と、自分の脳みそを通り抜けた数多くのアニメ作品に感謝する。

今こそ、その恩を返すとき。「私の歌を通して昔の自分のように悩んでいる子供たちを一人でもいいから癒すことが出来れば、自分の生きている意味があると思える」と力を込め、「デビューアルバム『Time Capsule』にはアニソン以外にも3次元のリアルな世界観に近い曲もあるし、私自身が作詞した曲もあるので、真剣に悩んでいる方や、感情に対して真剣である方に共感してもらいたい」と広く心に届くことを願っている。

いつか実現させたい夢もある。それは声優デビュー。「簡単にできるようなことでもないし、自信もないけれど、演じてみたいのはヤンデレとショタコン。現実でやったらマズイけれど、アニメの中であれば激しい愛の表現として成立するはず」と真剣な眼差しで、「私はアニメ好きのヤバイ人なんです!」と屈託のない笑顔を見せた。


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