[Interview] 今泉佑唯、「追い込まれるのが好き」逆境を成長の糧に “渋谷”との不思議な縁も

「2020年も渋谷にお世話になります」と屈託のない笑顔を見せるのは、東京・渋谷を舞台にした映画『転がるビー玉』(2月7日より全国順次公開)でメインキャスト3人のうちの1人、恵梨香を演じた今泉佑唯。3月には、渋谷・Bunkamuraシアターコクーンで主演舞台『あずみ~戦国編~』の東京公演も控えており、渋谷との縁に思いを巡らせた。


女性ファッション誌「NYLON JAPAN」の創刊15周年プロジェクトとして製作された『転がるビー玉』は、再開発の進む渋谷を舞台に、夢を掴むべく奮闘する3人の女の子のささやかな日常を描いた青春群像劇で、今泉が演じた恵梨香はシンガーソングライターを目指す女の子。
明治通りに架かる歩道橋の上で夜な夜な弾き語りするシーンが印象的だが、今泉自身も芸能界デビュー前の学生時代に、シンガーソングライターを目指して地道に活動していた時期があったという。「学生時代はライブハウスで歌ったり、ひたすら『ライブ出させてください』っていろんなライブハウスでお願いしてました」。そんな知られざる下積み時代を過ごしたのも、渋谷。「路上ライブをしたり、ライブハウスで歌ったり、主に渋谷で一人コツコツやっていたので、あの時こういう気持ちだったなって、思い出しましたね」と、かつての自分を重ね合わせた。

渋谷との縁はそれだけに留まらない。グループ在籍当時、ミュージックビデオやジャケット写真を渋谷で撮影。「MV撮影でも渋谷で弾き語りをするシーンがあったので、この辺でやったな~って思い出したりしました」と、様々な思い入れのある地で本作の撮影を重ねていった。

今泉佑唯

今泉佑唯

「追い込まれるのが好き」

2018年に女優業をスタートさせて以降、音楽活動からは離れていた今泉だったが、本作の撮影で久しぶりにギターに触れた。作中で披露する3曲を覚えるのに与えられた時間はわずか9日間。消音器を購入し、夜中も練習に没頭した。「コードも見たことないものばかりだったので、抑え方から入ったんです。ストロークもすごく難しくて、歌も1から覚えなきゃいけなかったので、はたして私はクランクインまでに間に合うのかな?って、すごい不安でした」と、当時の心境を吐露。「その時は精神的にも『やばい、やばい』って。間に合わなかったら作品を私がダメにすることになっちゃうっていうプレッシャーもあったので、本当に毎日不安でした」と、神妙な面持ちで明かしたかと思えば、一転「でも、その追い込まれてる状況がすごい好きで」と無邪気に笑う。「追い込まれて追い込まれて、切羽詰まったくらいがすごい好きなんですよ。結果的に後から『ああ、いい経験だったな』ってなるじゃないですか、きっと。それがすごい好きなんですよね」。
これまでも逆境を成長の糧にしてきた。2019年に踏んだ初舞台「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」もその1つ。同作が本格的な女優デビューとなった今泉は「もう言葉を発せないくらいに精神的に落ち込んでしまった時期があった」という。「何がわからないのかもわからない状態なんだけど、周りにそれを言えなくて、一人で全部抱え込んでしまった。『私だけ本番に間に合わない』って、すごい追い込まれてたんですけど、結果的に(本番で)周りの方が『全然練習と違うじゃん』って言ってくださって。あそこまで追い込まれたけど、そう言われると勇気が持てるし、達成感もすごかった」と回顧。「やり切ったっていう感じが味わえるのが、すごい好きですね。だから追い込まれたい」と笑みを浮かべる。

「今までで一番アドリブが多かった作品」

吉川愛演じる<愛>、萩原みのり演じる<瑞穂>と3人で暮らす恵梨香は、「愛ちゃんも瑞穂も悩みや抱えているものがあって、ちょっと暗くなっちゃったりするところもあるけど、そこで自分は引きずり込まれず、場を明るくしようとしているところが素敵だなと思いました」と今泉が語るように、笑顔を絶やさない印象が強い彼女自身と内面的にも重なる役どころだ。

今泉佑唯

今泉佑唯

何気ない日常のシーンでは、3人の間に流れるナチュラルな空気感が瑞々しくスクリーンに表れている。それはふんだんに盛り込まれた女優たちのアドリブ芝居の成果に他ならない。
「今までの作品で一番アドリブが多かった」という本作は、今泉にとって新鮮な現場となった。「今までは決められた通りにやってきてたので、一語一句間違えちゃいけないと思ってたんですけど、むしろ『全然自分の言いたいように変えていいし、アドリブとか全然入れていいよ』って言われたので、『えっ、いいの!?』って思いました」。戸惑いはあったものの、結果的に3人でのアドリブ劇は今泉にとってもプラスに働いた。5人兄妹の末っ子で、4人の兄に囲まれて育った今泉は、撮影前こそ「同世代の女の子だけで大丈夫かな?」という不安もあったそうだが、「アドリブのシーンをきっかけに仲良くなれた」と振り返る。現場では、アドリブをこなしていくうちに意気投合し、縮まった3人の距離感が映像にも投影されるという好循環が発生していたようだ。

「お芝居が楽しい」2020年も女優業に邁進

グループ卒業から1年あまり。「まだまだ一人で活動することに対して慣れない部分もあるし、撮影の現場とか行ってわからないことやできないこともたくさんあるんですけど、でもその分、全部一人で背負わなきゃいけないからこその達成感はすごくありますね。より感じるようになりました」と、充実の日々を送っている。
昨年は同時期に『ミリオンジョー』(テレビ東京)、『左ききのエレン』(MBS/TBS)が放送され、「それぞれまったく違う役柄なので、一度にそんな全く違う役柄を演じられたことがうれしかった」と振り返る。
『ミリオンジョー』では、念願だった狂気じみた役どころに挑戦。「ずっとサイコパスみたいな役をやってみたいって言っていたので、その夢をこんなにも早く叶えられたことがうれしい」と、殻を破って新たな一面を見せられたことを喜ぶ。
今回、久しぶりにギターに触れたことで、また音楽活動もやりたくなったかと尋ねると、「歌うことが好きだなっていうのは改めて感じました。でもお芝居がそれ以上にすごく楽しいので、しばらくはお芝居に集中したいなって思います」と、女優の顔。「ほんのちょっとでも今より今泉佑唯という人を知っていただけるように、地道にお仕事できたらいいなと思います」と、2020年の抱負を語ってくれた。

スタイリスト:入江陽子 (Tron)
メイク:Maki ihara (Pele)
ヘア:Moe mukai (Pele)

転がるビー玉

出演: 吉川愛、萩原みのり、今泉佑唯
笠松将、大野いと、冨手麻妙、大下ヒロト、日南響子、田辺桃子、神尾楓珠、
中島歩、徳永えり、大西信満/山中崇 ほか
監督:宇賀那健一
プロデューサー:戸川貴詞  
共同プロデューサー:小美野昌史
キャスティングプロデューサー:當間咲耶香(SKALY inc,)
脚本:宇賀那健一、加藤法子
音楽:佐藤千亜妃
制作:VANDALISM
主題歌:「転がるビー玉」 作詞/作曲 ​佐藤千亜妃
配給:パルコ
2020年1月31日(金)ホワイト シネクイントにて先行公開2月7日(金)より全国順次ロードショー

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