[Interview] 俳優・市原隼人、プロフェッショナルな現場を経験し「役者という職人になりたい!」

市原隼人

「本当にクレイジーな作品」と主演の市原隼人が嬉しそうに語る映画『極道大戦争』。彼の言葉通り、劇中の登場人物はみなぶっ飛んでいて、いい意味で目のやり場に困る。さらにそんな問題作(!?)は海を越え、カンヌ国際映画祭をはじめ、世界21の国と地域で上映されるなど、世界的にも広がりを見せている。鬼才・三池崇史監督がメガホンをとった本作、「出来上がった作品を観たとき、笑いが止まらなかった」という市原に作品の魅力や、俳優としての今後のビジョンなどを聞いた。

■『極道大戦争』は2度と出会えないような作品

6月に日本で映画が公開されると、市原の元には様々な反響が届いたという。「同じ業界の人から『やりきったな〜すごいな』と。台本読んだ時点で挑戦的な作品だって思いがあったので、それが伝わっていたんだなって実感しました」とニヤリ。市原が言うように、プロットを読んでもその“挑戦的”さは伝わる。バンパイアのヤクザに噛みつかれた人々が次々とヤクザ化し、街中ヤクザで溢れかえるという奇想天外なストーリー。

市原隼人

市原隼人

「2度と出会えないような作品ですよね」としみじみと撮影を振り返った市原。それだけ刺激的で、好奇心を掻き立てる現場だったようだ。「三池監督からは『ここをこうしてくれ』って細かく言われるわけではないのですが、試されている感じがすごく楽しくいんです。『もっとこういうのを見せたい』って思ってしまいますよね。それってそれぞれの部署の人たちが職人で、プライドを持っているから。“仕事だから”じゃなくて“この職業が好き”という誇りを持ってやってるから、こっちも『やってやるぜ!』ってなりますよね」。

本作の話をしている市原は、少年のように目を輝かせる。彼の言葉を借りれば、『極道大戦争』の現場は「でっかいテーマパーク」だと言う。「そこで乗り物や、アトラクションを好きに使って遊んでいいよって言われている感じ。でも逆に言えば『自分でやるからには責任をとれよ』という緊張感もある。最高ですよね」。

そんな最高の現場で、市原を始めキャスト陣は躍動する。「バイオレンス三池(笑)。控室で待っていて、共演者が帰ってくると、みんなが『(台本から)何か(シーンが)追加されました?』『増えました? それって(映像として)使えそうですか?』なんて聞くんですよ。役者自身もこれいいのかな? 大丈夫かなっていうぐらいハードなことをやっているんです」。当然ながら映画に入れられないお蔵入りのシーンは山ほどあるらしいが「もし(そのシーンを)入れたら誰も映画館に入れなくなっちゃいますよ」とR指定がいくらあっても足りないと大笑いする。

■役者という職人でいたい

市原隼人

市原隼人

「挑戦的」であり「実験的」な作品をリアルに経験した市原。俳優・市原隼人にとってこの映画に出会ったことは、自身の俳優人生においてどんな意味があったのだろうか。「周囲のスタッフを見て、職人でいたいなって改めて思いましたね。タレントじゃなく、役者でいたい。総合芸術と言われる映画の世界で、プライドすら捨ててしまえるようなプライドを持っているような人たちがいる。そんな人たちに囲まれて、常に緊張感が途切れない時間を過ごさせてもらい、誰も観たことのないような映画を作らせてもらった。そこに向かっていく悪戯な気持ちとか、必死に努力している姿を見ていると、役者という職人でいたいって強く思いました」。

胸をわくわくさせられる三池監督とのタッグ。市原にとって映画とは「エンターテインメント。普段味わえないような感覚や映像、人の顔など、自分を別世界に誘ってくれるような存在」と語る。さらに「役者って作品との出会いによって人生が変わることがある。その意味ではこの作品は、大きなターニングポイントになった。挑戦することの素晴らしさを実感させてもらいました」と映画という文化への敬意を表していた。

■アイデンティティを捨てられるプライドが出てきた

俳優という道にブレない信念を掲げる市原。一方で、年を重ねることによって見えてくるものもあった。「昔は『俺はこうだ』というアイデンティティを強く意識していたのですが、それを捨てられるようなプライドが出てきましたね。今まではこうだったけれど、人が違うことを言うなら耳を傾け、考えてみようということが増えました。今まで感情的になっていたものが、すごく俯瞰で見られるようになった。それっていいことかなってね」と自身の変化を語る。

とは言うものの「棘があるという部分は変わっていないんです。根っからの天邪鬼でいたい」と悪戯っぽい笑みを浮かべる。「みんなで歩いていたら、一人だけはぐれて違う道に行きたくなったり、冒険してみたり……少年の気持ちは忘れてはいないです」。その意味で、『極道大戦争』は市原の挑戦心、遊び心を満たしてくれる珠玉の作品であることは間違いないだろう。

(取材・文:磯部正和)


Photo:植村忠透
Hair and make up:高橋幸一(Nestation)
stylist:小野和美(Post Foundation)



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