清楚で上品、容姿端麗というイメージの強いアイドルグループ・乃木坂46。結成当初からそんな乃木坂46を象徴するメンバーと称されてきたのが、現在19歳の生田絵梨花だ。今年1月に発売された初のソロ写真集「転調」が2016年上半期写真集売上1位に輝いた際にも、「ドイツ生まれのお嬢様」「才色兼備の優等生」と多くのメディアで紹介された。しかし、それらのイメージはあくまでも彼女の表面的な一部分に過ぎない。
音楽番組で華麗なピアノ演奏を披露したかと思えば、その数十分後にはユニークなフィンランド民謡を歌い踊る姿がインターネット番組で配信されている。千変万化、変幻自在。生田絵梨花は次々に新しい表情を見せてくれる。
堅かった自分をメンバーがほぐしてくれた。今は「自由になった感じ」
2011年、乃木坂46の最終オーディションに合格し、一期生として活動を始めたのが14歳の時。イベントで得意のピアノを披露するなどしてすぐに頭角を現したが、テレビのバラエティ番組だけは「喋るのも得意じゃないし、本当に苦手だと思っていた」という。
事実、2013年にスタートした冠番組『NOGIBINGO!』(日本テレビ)では、「番組が好きじゃないことがスタッフにバレた」という自作の歌をウクレレで弾き語りしたり、「メンバーを傷つけるような企画は嫌だ」と痛切に訴えたこともある。
グループ結成からまもなく5年が経とうとしている今では、バラエティ番組でも大活躍。「なんか私、乃木坂に入ってからけっこう人格が変わった」と苦笑する。「わりと堅い人間だったと思うんですよね。冗談が通じないというか、目の前のことだけ黙々とやる、みたいな。それをメンバーだったり、関わる人たちにほぐしてもらって、柔軟にしてもらって、今、かなり自由になった感じです」。
上述の『NOGIBINGO!』は今年、第6シリーズに突入し、6月27日に最終回を迎えたが、「収録が終わった後に、スタッフさんから『まさか生田さんがこんなに(番組を)好きになってくれるとは思いませんでしたよ』って言われて。たしかに最初あんなだったのに、今はすごいノリノリで収録してることを思うと、やっぱりすごい変わったんだなって思います」と自身の変化に驚きを隠せない様子。
今はバラエティ番組の企画や突発的なムチャぶりにも全力で対応し、しっかり笑いに繋げる。ゲスト出演した番組でラップを披露したり、「NOGIBINGO!6」ではオペラ調で“本気すぎるバースデーソング”を歌い、男装して桜井玲香の彼氏役を務めた企画ではツンデレ彼氏を演じるはずが、次第にダメ男になっていくという想定外の展開まで見せた。
「なんか、やっちゃうんですよね。そんなにやるつもりはないんですけど、気づいたらちょっと変な方向にズレていっちゃってるのが多いですね」と本人に特別な意識はないようで、「私、人にどう見られるかというのをあまり気にしないというか、どう見られてもいいと思っているので、それがやっぱりそういう形になっちゃうのかな」と自己分析。
そんな生田の型にはまらない独特の感性には、周りのスタッフも気が気でないらしい。「大人の人には『あんまりやり過ぎないで』って言われるんですけど、むしろ全然やってるつもりはないんですよ。本当に勝手にそうなっちゃう。(スタッフに)言われて反省するんですけど、時間が経つとまたやっちゃう」と天然な一面ものぞかせ、ゆえに周囲の人間はおろか本人にもコントロールは困難なようだ。
MVで見せた、年上メンバーに絡む“末っ子”の顔
7月27日にリリースされる乃木坂46の15thシングル「裸足でSummer」も、生田絵梨花の多彩な魅力が詰まった作品になった。
表題曲「裸足でSummer」のMusic Videoでは「自由に音楽にのっていてって言われて、カメラも忘れて曲にのっていた感じ」という車内のシーンで、隣に座る橋本奈々未にちょっかいを出す微笑ましい姿が印象的だ。「ななみん(橋本)は意外とノッてくれる人なので、絡みやすいです」と無邪気な笑みを浮かべる生田。「いつもああいう感じなんですけど、形に残る作品でそういう部分を出したことがあまりなかったので、あんなに絡んだのは今回が初めてかもしれないですね」。
「カメラを意識していない」と聞くと、“スイッチがオフの素の表情”ととらえがちだが、生田の場合は少し違う。自然体には違いないが、スイッチはオン。
「カメラがまわってる時、まわってない時みたいなスイッチのオン・オフではなくて、自分のテンション的に、すっごい笑顔か真顔かの2パターンしかないです」と笑う。これもまた自分自身では制御できず、「勝手に、ふつふつと湧き上がってきちゃう。すっごいうるさいって思われている時もあれば、一言も喋ってないんじゃないかって思われてる時もある」と両極端。
ちなみに、テンションがオンの時は秋元真夏や白石麻衣といった年上のメンバーに絡みに行くことが多いようで、自分でも「典型的な末っ子」と認識している。幼少期からピアノやクラシック・バレエを習い、深窓の令嬢といったところの生田がふとした瞬間に見せる、茶目っ気のある一面もまたファンをますます虜にする魅力の1つだ。
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