[Interview] 4年ぶりの主演映画が公開の佐藤江梨子、女優人生を振り返る

佐藤江梨子

日本アカデミー賞最優秀脚本賞をはじめ、数々の映画賞を受賞した『百円の恋』の武正晴監督と、脚本家・足立紳がタッグを組んだ最新作『リングサイド・ストーリー』(10月14日公開)。本作で瑛太演じる、夢だけでかい典型的なダメ男・ヒデオを支える健気な恋人・カナコに扮したのが4年ぶりの映画主演となる佐藤江梨子だ。そんな彼女に撮影でのエピソードから、結婚・出産を経験したプライベートの話まで語ってもらった。

■プライバシーは『見てもいいよ』と言われても遠慮するぐらいの方がいい

佐藤演じるカナコは、才能だけを信じているヒモ同然(!?)の売れない役者と10年同棲している女性だ。出会ったときは、その才能に輝きが感じられたが、こだわりが強く、オーディションには落ち続け、完全に開き直りカナコの財布からお金を抜き出すような典型的なダメンズ。

「カナコとヒデオはもう何周もしているんでしょうね。たぶんお金を抜くのもしょっちゅうやっていて、カナコもわかっている。でも犯人扱いしたら余計怒るのでなにも言わない。そういう関係なんだと思います。まあ、私は見られて困るようなものなんてないですけれど、基本的にはお財布とか携帯は見られたくないですね。うちの夫はかなりフランクな人であまりそういうことは気にしないのですが、自分のプライバシー的なものは『見てもいいよ』と言われても遠慮するぐらいの方がいいと思います」。

なにをやってもうまくいかないヒデオだが、カナコは突き放しつつも、才能を信じ、夢を追い続ける恋人を献身的に支えるとてもバランス感覚の優れた女性だ。

「確かにダメな男だと思いますが、こういう人に心動かされるのはわかります。売れることって大切だと思いますが、私もこれまでいろいろな作品に出演して、いろいろな俳優さんにも出会いましたが、アクションだけにこだわっている方や、舞台でものすごい能力を発揮する方など、スタンスはさまざま。私なんかは、つい『すごい方だからテレビとかもっと出ればいいのに』って思ったりするのですが、人それぞれなんですよね。でも『この人めっちゃ面白いのに……』って思っていた人が、どんどん売れたりすると『自分は前から目をつけていたんだ』って自己満足に浸ることもあります」。

劇中では、佐藤と瑛太の掛け合いが生々しい。脚本の妙もあるが、とても息の合ったコンビネーションを披露している。

「二人のシーンのところは撮影前に、カット割を含めてリハーサルはしっかりしました。もともと台本がすごく面白くて私は読み込んでいたのですが、やっぱり現場で瑛太さんと対峙することで生まれるものも多かったです。瑛太さんとは、2008年公開の『銀色のシーズン』という作品でご一緒したのですが、その時の役が、幼なじみで片想いという設定だったんです。それが10年たって恋人の役として共演できたので『夢が叶った』って冗談で言っていました」。

■舞台『トンカツロック』がターニングポイント!女性に支持してもらえた!

佐藤江梨子

佐藤江梨子

ヒデオは、大河ドラマ出演で才能を認められつつも、自身のビジョンと、現実とのギャップに苦しみ、なかなかステップアップすることができない。佐藤と言えば、モデルやグラビアなどでも活動し、幅広いジャンルでの活躍が目立っているが、自身のターニングポイントとなった出会いや出来事はあったのだろうか。

「『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』も好きな作品ですが、一番印象に残っているのは『トンカツロック』という舞台ですね。井ノ原(快彦)さんの恋人の役をやらせていただいたのですが、その役をやったとき、女性の方々が共感してくれて、いろいろと声援をいただいたんです。それまでの私って、どちらかというとグラビア系で衣装もボディーコンシャス的なものが多く、ファンも女性は一切いないような環境だったので、とても嬉しかったことを覚えています。ちょうど年齢も20歳ぐらいだったのですが、レギュラー番組とかもいったん終わりにしていただいて、『トンカツロック』という舞台に集中して臨んだので、ある意味で転機になった出来事でした」。

そんな佐藤も一児の母となり、35歳という年齢に差し掛かった。

「20歳過ぎた人が『小学生のころ見ていました』なんて言われるとすごくショックみたいな(笑)。でもちょうど30歳ぐらいの時が、いろいろなことに慣れてきて一番楽しかったなと思いますね。いまは子どもが優先なので、お仕事はそこまでという感じなのですが、周囲にも子どもがいながらお仕事をやっている人たちがたくさんいるので、そういう方からいろいろアドバイスをもらったり、『頑張ろう』って声を掛けていただけたりするのは励みになります」。

作品のテーマにもなっている「見たことがないような景色」。本作の登場人物は、叶う、叶わないという結果は二の次でも、その景色を真摯に追い求める。その姿勢は武監督自身にも通じるものがあるようだ。

「武監督は、この映画が大好きで仕方がないという感じ。とても高いテンションの現場で、俳優だけではなく、美術さん、技術さん、照明さん……みんなを励ますんです。そんな監督のもと映画を作れてよかった。作品を観て、その思いはさらに強くなりました」。
(取材・文・写真:磯部正和)


この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

TwitterでTOKYO POP LINEをフォローしよう!

関連記事


Top